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ショコラティエ Tissa Aunillaについて
2013年にインドネシアで創業したPipiltin Cocoa(ピピルティンココア)チョコレートメーカーの創業者でありマスターショコラティエ。
2004年にオランダのユトレヒト大学で法学の修士を取得。7年間法律家として勤務した後、チョコレート工房設立を決意し今に至る。
スイスのフェルクリン社にて修行中、マスターショコラティエ<の認証を取得し、インドネシアカカオの魅力を広めるため活動中。
チョコレートの世界に入るきっかけ
Tissaがチョコレートを作ろうと決意したのは、オランダ留学中にインドネシアのジャワ島のカカオ豆を使ったチョコレートに出会ったことから。
ヨーロッパというチョコレートの加工・消費が盛んな土地でもジャワ島のカカオ豆を使っていることを知り、母国インドネシアでインドネシア産カカオ豆を使ったチョコレートをつくりたいと思ったのがきっかけ。
法律家をすっぱり辞めて、チョコレートづくりに専念することに。スイスで修行後、念願のチョコレート工房をジャカルタにオープン。現在インドネシアにおけるbean to barのパイオニアとして注目を浴びている。
幼いころからチョコレートは好きだったのですか?
はい、好きで沢山食べていました。しかしインドネシアの市場では、輸入されたチョコレートを除くとダークチョコレートよりもミルクチョコレートのような甘いチョコレートが多かったんです。インドネシアの全てのチョコレートブランドは甘いミルクチョコレートを扱っていました。今でも甘いものが好きなのは、これまで甘いチョコレートを食べてきたからだと思います。
ティッサさんが考えるチョコレートの魅力はなんですか?
一般的にチョコレートは世界中で1番人気のあるお菓子です。人気の理由としてはチョコレートを食べたときの口の中で溶ける感覚だと思います。チョコレートは人の体温とだいたい同じ体温で溶けるので、口の中に入れると簡単に溶けますよね。これがチョコレートが世界中で大人気の理由だと思います。
しかしチョコレートの味自体はとても複雑で、カカオの産地が違えばチョコレートの味も変わってくるのも魅力の一つだと思います。
ピピルティンココアを設立してから今までで印象的だった出来事は?
以前法律家として働いていたとき、週末にチョコレートケーキをよく焼いていました。スイス出身のシェフにフェルクリン社のチョコレートもらったときに、今まで食べたことのない味、美しさに感動してそこのウェブサイトに飛んだんです。そしたらイーストジャワのカカオを使っていることが分かったんです。そしてインドネシアには自国のカカオを使ったチョコレートブランドが存在しないことも知り、驚きました。世界で3番目のカカオ産地であるにも関わらず、自国のチョコレートブランドが存在せず他国にカカオを輸出していることに疑問を抱きました。そしてインドネシアのカカオは品質も良かったのでピピルティンココアをスタートしようと思ったんです。
ピピルティンココアを始めたときインドネシアの人々にダークチョコレートが受けいれられるか分かりませんでした。インドネシアでは甘いチョコレートが主流で、ダークチョコレートの消費量が低いこともあったので、まずはチョコレートカフェをオープンすることから始めました。カフェでは単体のチョコレートを販売するのではなく、1つのお皿に18種類のチョコレートが並ぶ、ユニークなデザートを用意することにしました。その方がチョコレートデザートとしてコンセプトを理解してもらいやすいと考えたからです。

ピピルティンココアのインドネシア語版キャッチフレーズである「BedaBedaltuEnak」
(直訳:Beda:違う Itu:それは Enak :美味しい)は何を表象している言葉なのですか?
「BedaBedaltuEnak」はピピルティンココアの新しいキャッチフレーズなんです。ピピルティンココアをスタートした時のキャッチフレーズは「We make chocolate from scratch(ゼロからチョコレーを作る)」でした。背景としては私たちがお客様に対して農家さんや資源を明らかにすることで、私たちはサスティナビリティ精神のあるスタッフである、ということを示したかったからです。しかしこのメッセージを検討した時に、言葉が重すぎると思ったんです。より分かりやすい言葉でお客様に伝えようと考えて「BedaBedaltuEnak」に変えました。「BedaBedaltuEnak」は産地が異なるカカオゆえに出来るチョコレートの味の違いを祝福する、ということを意味しています。
また、多様性についても意味があります。アジア圏では人種や宗教、礼儀などがそれぞれの国や地域で異なるので、その違いを祝福する必要があると思うんです。こういった文化の中でチョコレートの味の違いも祝福する必要があると思います。
インドネシアのカカオやチョコレートを通じて社会がより持続可能になるために、今後実現していきたいことはありますか?
まず始めにお客様の意識を構築する必要があると思います。理由として、インドネシアではサステナビリティの意識が大きく広がっていません。いわゆる発展途上国であるインドネシアの農家は、例えば明日何を食べるかしか考えていないのです。反対にニュージーランドではサステナビリティの意識が広まっているので、ニュージーランドの農家は20年後までにしなければならないことを考える余裕があります。ピピルティンココアの場合、20年先を見据えている農家と共に働いています。しかしインドネシアでは未来を見据える農家が少なく、明日食べられるかも分からない農家の方が多いのが現状です。サステナビリティを達成するためにこれら2つのバランスを考える必要があると思います。
あと日本のお客様との手紙交換は凄く助けになっているんです。手紙を交換するというシンプルなアクションですが、これは農家の自尊心やモチベーション向上につながっていてサスティナビリティに繋がっていると思います。
※お手紙交換の企画についてはこちら